生活

反逆のコンビニ鍋

都心一人暮らし+外出自粛=砂漠

年度が明けたと思ったら緊急事態宣言である。筆者は年度明けに職場が変わったのだが、いきなりの在宅勤務。よくわからないまま、在宅である。しかも、せっかく通勤時間を減らしたいからと無理をして職場から徒歩圏内に住んでいるのに。

幸いにして(?)テレワークのインフラは比較的整っている会社なので、普通に仕事はできてしまう。だが、とはいえリアルに顔を合わせないとなかなか職場の方々との親交は深まらない。

加えて筆者は三十路まじかの独身で(すら)ある。そうなると、もう誰とも喋らない。今思い返してみても、今日声帯が震えたのは、トイレでふんばったときぐらいだっただろう。

となると生活をリッチにする手段は限られてくる。そのひとつが、「食」である。

しかし。これがまた辛いことに、緊急事態宣言が発令されて以降、飲食店も営業していなかったりする。

自炊すればいいではないか、と訝しむ向きもあるだろう。が、先述のとおり筆者は職場の近くに住んでいる。ほぼオフィス街に住んでいるといってもいいだろう。そうなると、なかなかスーパーがないのだ。いや、もちろんちょっと遠くにあるにはあるのだが、仕事帰りに立ち寄るならともかく、仕事は家で、終わったら遠出してスーパーへと…なんかそれ、じゃね?と思ってしまうのである…いや、まあ要するに面倒くさいのだ。しかも、買いに行くのに時間がかかって、かつ、作るのにも時間がかかる。それに見合うスーパー調理技術を持っていれば話は別だが、当然、そんなものはない。

そうなると、残された選択肢はコンビニ飯となる。いや、まあ別に不味くはない。下手に自炊するよりも美味しいかもしれない。だが、さすがに毎日の食事にはそのレパートリーは耐えない。あと、なんだか体にも良くない気がする・・・わからないが。

外出自粛×一人鍋=∞

コンビニで食べ物を調達するという方針自体は間違っていない。というか、選択肢としてそれしかあり得ない。

となると、取りうるアプローチは、「コンビニで食材を調達して調理する」である。しかも、調理が楽で、かつスーパー調理技術がなくても、一定以上の味が担保される必要がある。そんなものがあるのか?

―――ある。それが、「鍋」である。

鍋は楽だ。基本的には食材をブチ込んでそのまま放置プレイで構わない。同じ食材を使ったとして、道場六三郎と筆者が料理対決をした場合、唯一、五分に持っていき得るお題が「鍋」なのである。

しかもやろうとしているのは「一人鍋」。前々から「一人鍋」は静かなブームであるが、何が良いかというと、通常、鍋とはみんなで卓を囲み一緒に食べるものだが、逆に、一人でそれをやっちゃうという反転、転倒の快楽なのである。

翻って今の状況を見てみよう。本来ならばみんなで集まってやるべき仕事が、飲み会が、遊びが、一人でやらざるを得ない。転倒によってつまらなさが生じているそんななか一人鍋を密かに楽しむということは、転倒を転倒で返すことによるカタルシスなのであり、もうこれは芸術行為といっても差し支えない。これが、緊急事態宣言下の一人鍋が反逆鍋と呼ばれるゆえんである。

おわかりいただけただろうか。

鍋∉コンビニ

要するに、コンビニで売っているものだけで、それなりに上手い鍋をつくる。そういう企画です。

もちろん、普段それなりに自炊をする諸兄にあっては、気の利いた調味料や食材が常時あるだろう。ただ、ここで想定しているのは普段全く料理をせず、「美味しんぼ」さえ一度も読んでいないような方を想定する。なので、コンビニに売っていないものは一切、使用しないというルールとする。

しかし、この間たった一行で恐縮だが、このルールをいきなり破る。どういうことかというと、鍋(料理としての名称ではなく、調理器具としての)は、ふつうはコンビニには売っていないため、こればかりは別に調達していただく必要があるのだ。

サイズ等、いろいろ悩むと思うが、筆者はアマゾンで1,000くらいで売っていた6号のものを買った。安いが全く困っていない。しかもかわいいし。ただし、土鍋の場合、初回は「目止め」といって、米の研ぎ汁等を煮込んでやる必要がある。安いからといってさぼらず、しっかりやろう。

以上でルール違反は終了だ。以下ルール厳守で行く。

ξ

具材はコンビニで揃うのか。

結論からいうと大丈夫である。大丈夫どころか、季節によっては「鍋用野菜パック」みたいなのも売っている。

今回もそれを期待したのだが、季節外れのためか、鍋用のものは無かった。仕方がないので、野菜炒め用で代用する。入っているのは、キャベツ、ニンジン、ほうれん草だろうか。まあ、よしとしよう。

野菜よりも問題は肉である。コンビニにある肉類はほとんどが、ソーセージやハム、生姜焼きなどの加工食品であり、加工前の肉はふつうあまり売っていない(ローソン100とかは別)。

なので加工肉のなかから選ぶしかないのだが、そのなかで一番生肉に近しいのが、サラダチキンだろう。よってこれをチョイス。なお、今回は1個だけにしたが、どのコンビニのサラダチキンも大体1個110g程度なので、物足りないと感じたら2つ購入しよう。また、味はプレーンが無難。レモン味はパッと見プレーンと見分けがつかないので注意しろ!

味のベースはキムチとする。我ながら堅実な選択である。キムチを部分とする集合はキムチである。キムチは旨い。よってキムチを入れればなんでも旨いという超ロジカル・クッキングである。

流石にキムチと野菜を煮込みました、では芸がないと反省し、攻めの牛乳を購入。キムチの辛さをマイルドにしつつ、味に深みを出す作戦である。

最後に隠し味としてニンニクチューブを買う。キムチとニンニクを混ぜてしまうので、これが平時であればほとんどスメハラの非難を免れないだろうが、いまは在宅勤務中。Zoomがセキュリティ対策をすっとばして香りを伝える新技術を開発しない限り、臭いを気にする必要はないだろう。

まあただ、「一人暮らしで普段自炊をしない人が突然思い立って鍋をつくる」という想定だと、できれば一鍋で具材を使い切ってしまうのが望ましいと思うが、上記具材のうちニンニクチューブだけは余ってしまうだろう。筆者は普段からまあまあ自炊をするからよいが、そうでない場合にはニンニクチューブはオミットしても構わない。キムチにもニンニクは入っているからね。

かくして役者は揃った!

具材購入した具材@ローソン 最近PB商品の包装がオーガニックな方向にお洒落になった。正直、前の方が好きだ。

ちなみに、レシートを捨ててしまうという失態を犯してしまったので正確な額はわからないが、おおよそ800円くらい。・・・微妙にコスパが悪い。サラダチキンが200円くらいして高いのだ。

√鍋

調理の説明はほぼない。何しろ、調理が楽だから鍋を選択したのである。よって以下は当然画像ベースになる。

①具材を、鍋に入れます。

入れます。結構山盛りになるが、煮込むとヘタるので大丈夫

※牛乳は200ml、キムチは200g投入した。

②蓋をして、弱火で20分ほど煮ます。

牛乳なので吹きこぼれに注意。

③できます。

完成できます。

見た目はあまり良くなく、ポータブルな地獄のようだが、どうせ一人鍋なので関係ない。

④食べます。

食べてください。まあ、最近はやりの「優勝」とまではいかないものの、キムチの甘辛さと牛乳のコクがあいまっていい感じである。

⑤シメに、ごはんを入れます。

〆ます。

2度めのルール違反である。ご飯のあまりがあったからウッカリ入れてしまった。牛乳を入れているのでリゾットチックになる。なんなら鍋本体よりもこっちのほうが美味しいかもしれない。まあ、ごはんはレンチンしてつくるやつがコンビニに売っているのでそれを投入すればよい。ここまでやれば、間違いなくお腹はいっぱいだ。

Q.E.D

というわけでコンビニだけで一人鍋が可能であり反逆であることが無事に証明されました。

筆者のように、都心に一人で住んでいるが故にご飯に困っている(まあ、「無い」わけではないので贅沢といえば贅沢だが)方は割と多い気と思うので、気が向いたら是非反逆の一人鍋をやってみていただきたい。

ふつうにレンチンのチゲ鍋のが旨い?まあ好みですからね。所詮は机上の暴論です。