もくじ
引っ越しをしました
9月に引っ越しをした。ちょうど旧居の契約更新のタイミングが近づいていたからだ。
一人暮らし歴もまだ浅い3年目で、旧居の前は実家であり、実家では引っ越しの経験はなかったため、今回が初の本格的な引っ越しとなった。
で、感じたこととして、これが結構大変。というのは、不動産業者をはじめ、いろいろな相手とのいろいろとやりとり・段取りを基本一人でやらなければならないからである。
段取りの大切さ
特に、順番が大事。まあ少し考えればわかるが、例えば旧居に住んでいる期間はまだガスを止めることはできない。一方で、旧居を引き渡した後は、立ち合いができないためもうガスを止めることができない。みたいな。
もちろん、旧居引き渡し日を実際の引っ越し日より一定の日数分後ろ倒しにし、新居入居日を実際の引っ越し日より相当前倒しをすれば、新居・旧居どちらでも作業ができる期間を長くとれるため余裕を持った引っ越し作業ができるが、家賃が(基本的には)日割りであることを考えるとなるべく「カブり日数」を減らしたくなるのが人の性である。それに、一般的な社会人の場合には平日はそんなに作業ができないと思われるので、後ろ倒しにせよ前倒しにせよ一週間単位になるであろうから、作業を行わない平日分まで被らせるのは単に無駄である。

家賃以外にも、段取りをきちんと行うことで減らせる要素はある。詳しくは後述するが、ともかく時間・お金のロスを防ぐためにも、引っ越しする際の段取りは非常に重要なのである。でもその割にはネット上に引っ越しの段取りについてあまり詳しく書かれた記事がない。引っ越しの記事といえばだいたい「良い不動産屋の見分け方」「内見のときにチェックすべきポイント」みたいなのばっかりだ。いや、もちろんそれも大切ですけどね。ただ、新居を選びは基本的にはワクワクして楽しいものだけれども、その後に必ず、めんどくさい事務的な引っ越し手続きが待っている。そしてこれはぜんぜん楽しくない。
そうすると、「まあよくわからんしとりあえずまず何かやっちゃえ」みたいなことでいきなり引き渡し日を決めちゃったりする。私がそうでした。それでよいこともあるけれど、こと引っ越しに関しては、段取りをしっかりして進めよう。
そういうわけで今回は、「案ずるより産むが易し」1)同じ意味で最も有名なのはこの「産むが易し」であるが、「案じるより団子汁」というのもあってこれは「いろいろ考えたってどうせなるようにしかならないんだからまあ団子汁でも食えよ」という意味であり、個人的にはこっちの方がかわいくて好き。他に「団子汁」の部分のバリエーションとして「芋汁」もある。現代に直すと「氷結ストロング」とかであろうかに対抗して、十分に案じてから産め!!をスローガンに、引っ越し手続きの段取りについて考えていきます。
少し注意点
本題に入る前に少し注意点・・・というか前提だが、筆者の今回の引っ越しについて述べておくと、単身者で、家広さは1K(リビング6畳)⇒1K(リビング6畳)である。つまり荷物などは(家族形態の点からいって)最小で、かつ地理的には四谷⇒神保町というかなり近い距離の引っ越しであった。また、実家は埼玉県の大宮なので、引っ越し中に生活の不便がある場合には実家に緊急退避することも可能であった(というか、実際、した)。また日ごろ品行方正なふるまいを心掛けているおかげか、引っ越しを手伝ってくれる友人もいた。
下記で述べることは、上記のような条件可でおこなった引っ越しであるということに注意されたい。正直なところ、おかげ様で今回の引っ越しの難易度は客観的にみてEASYであったといえるだろう。
とはいえ、どんな引っ越しであれ骨子は一緒だと思うので、そこらへんはご容赦ください。
引っ越しやることリスト
引っ越しの際、手続き面において最低限、やることが必要なことを羅列する。ただし、新居はすでに決まっていて、契約まで済んでいることを前提とする。
①解約予告
貸主に「もう出ていきま~す」と予告すること。管理会社に電話なりメールなりすればよい。
どのくらい前に予告すればよいかは契約によるので契約書を読もう。多いのは一か月前か二か月前らしい2)「定められた期間に関わらず、Xか月分の賃料を支払えば好きなタイミングで解約してよい」とされていることがほとんどなので、正確に言えば一か月・二か月前の予告でも解約できないことはないが、お金がモッタイナイのでここではとうぜん、度外視する。。
②荷物運搬
「引っ越し」と聞いてまず思いつく作業。家具をはじめ旧居から新居にモノを運ぶフェイズ。
業者に依頼するパターンと、自力で車などを使って運ぶパターンがある。当然後者の方が安くつくが、ⅰ)物が極端に少ない。ⅱ)献身的な友人がいる ⅲ)ハイエースを運転することができる の三つの条件がそろったときのみに使える戦法である。
よって基本的には業者に依頼することになる。さて、どれくらいお金がかかるのか。
参考までに、筆者の引っ越しは四谷⇒神保町という近距離のもので、季節は9月、日曜日に行った。荷物は100サイズの段ボール×10、120サイズの段ボール×10に収まるくらいの量であった。なお、業者によれば単身世帯だとだいたいこれは平均のダンボール使用量だそうなので、自分で調達する場合には参考にしてほしい。
大きな家具は、それ以外に40インチのテレビ3)まあうすうす感じていたが一人暮らしに40インチは大きすぎる、シングルベッド、本棚、パソコンデスク、ソファー、ちゃぶ台(小)、冷蔵庫、洗濯機(新居でのセッティングサービス付)である。
以上の条件で、38,000円であった。何人かに聞いたところ適正価格あるいはちょい安いくらいらしい(条件によって変わるのであくまで参考に)。
引っ越し費用くらい会社や交渉による変動があるものもないようで、筆者は最初5万円くらいを提示されたが、二社に連絡をとりそれぞれで見積を出してもらいキリキリとやっていって上記の値段になった。
筆者は自分で業者に直接電話したが、複数の見積をWeb上で一括で出してくれるようなサービスもあるようなので、それを使ってみてもいいかもしれない。
③電気・ガス・水道の旧居での停止・新居での開通
忘れがちだが、忘れてはいけない作業。
直前の連絡となると電話でないと対応できないケースもあるようだが、期間に余裕があればネットで手続きができる。

筆者の場合は電気とガスは一括で東京ガスで契約しているため、両者は一括で申し込みができた。まとめておくとこういうときに便利だ。
電気と水は、指定した停止日・開通日に自動で停止・開通されるが、ガスは止めるのにも開くのにも立ち合いが必要。4)ここらへんは契約会社、自治体等によっても変わるかもしれませんだから、旧居退去後のガス停止および新居入居前のガス開通はできない。もちろん電気・水についても基本料金は日割り計算されるため、なるべく重複期間を短くすることが重要だ。
④インターネット回線の停止・開通
光回線を引いている場合、この作業には工事を伴う場合もある。
また人手不足なのか、プロバイダによっては申し込んでから施工してくれるまで1か月以上待たされる場合もあるらしいので、これまた計画的に申込をする必要がある。
まあ、電気やガスと違って、なくても死ぬわけじゃない5)ただ、友人は3日以上欅坂46の映像を見ない日が続くと死んでしまうと言っていたので、そういう場合は死活問題だので、新居での開通はともかく
旧居で撤去工事が必要になる場合、引き渡し時は原状回復が原則であるため、それに間に合わないとまずい。したがって旧居で撤去工事が必要か、必要であれば最短どれくらいで施工してもらえるかは事前に確認しておく必要がある。
ただ、最近はSoftBank Airなど、「コンセントに差すだけで使えて工事いらず」といったお手軽な接続サービスもあるし、それ以前に一人暮らしならモバイルWifiルーターを使用している例も多いと聞くので、それらを利用している人々にはこの作業はそもそも発生しない。
余談だが、とはいえやっぱりせっかくポータブルなんだから1日くらいは充電が持ってもらわないと困る。当然通信している状態で、である。かつ、月額をもう少し安く。これを満たすものがないので、筆者はまだポータブルWifiには手を出せていません。

⑤新居への入居、旧居の引き渡し
素朴には引き渡してから入居するように思えるが、上で見てきたように引っ越しとは身一つではない。荷物や各種手続きを伴う。そこで、実際には入居日は引渡し日よりも前に設定し、両拠点にアクセスできる「重複日」を設けることになる。問題はそれをいかに短くするかということだ。
荷物や各種手続きが終わっていたとしても旧居をすぐに引き渡すのではなく、やるべきことがある。掃除である。いままで長い間お世話になった家を、感謝の意味を込めて丁寧に…というわけではなく、敷金対策だ。
言わずもがなであるが、契約時に払った敷金は、大家に支払う礼金6)日本七不思議のひとつと言われていると異なり、あくまで退去時の原状回復費用であるため、原状回復に費用がかからなければ、言い換えれば家をキレイに使っていれば、その分だけ返ってくる。まあ、原状回復にどれくらいかかったかなど管理会社の舌先三寸でどうにでもなるといえばそうなのだ。だが、自分が(誠実な)大家だとして、退去時のパッと見の印象が重要であることは明らかだろう。たいした汚れでなくても、「汚いな」と感じたら、心配になって細かくチェックされ、結果費用がかかってしまうということにもなりかねない。逆に、第一印象がキレイであれば、多少、傷があっても見逃してしまう…かどうかはわからないが、とにかく少しでも敷金を取り戻すため、できることはやっておきたいところである。
一方、入居してから荷物を搬入する前に、やっておきたいこともある。バルサンである。憎きGらを、家具で逃げ場ができる前に殲滅する…ということだ。これについてはその通りだ。
筆者はバルサンの炊きすぎで、一度火災報知器が作動してしまったことがあったが、最近は火災報知器が探知しないような霧状タイプもあるので、入居早々のトラブルを避けるためにもぜひそれらを活用しよう。

G対策でいえば、荷物を入れる段ボールについても注意が必要だ。奴らは段ボールに卵を産むらしい。荷ほどきがなかなかはかどらず、数週間、数か月段ボールが残っているという人もいるかもしれないが、Gのエデンになっているかもしれないので、搬入後は速やかに物を出し、段ボールを捨てるべきである。いくら前段でバルサンを炊いてもここでGに侵入されたらパーなのだ。
順番を考える
以上が引っ越し時にほぼ必ずかつ早急に行わなければならないToDoリストである。
ほかにも、住民票を移したり、免許証の書き換えも重要な事項ではあるが、緊急性という点では上述の事項の後手に回るため、ここでは割愛する。
さて、もう一度引っ越しToDoを列挙しよう。
①解約予告
②荷物運搬
③電気・ガス・水道の旧居での停止・新居での開通
④インターネット回線の停止・開通
⑤新居への入居、旧居の引き渡し
さて、何から決めるか?
まずは現契約を確認し、解約予告をどれくらい前にする必要があるかを確認する。おそらく1か月ないし2か月だろう。そしてそれを基にざっくりと自分の引っ越したい頃合いを決める。このタイミングでは1か月単位で構わない。
そして、上記のToDoのなかで一番最初にやるべきは②荷物運搬の日程を決めることだ。なぜなら日程次第で一番コストの変動が大きい項目だからである。
当たり前であるが、「申込が早い」「時間指定をしない」「休日より平日」の方が値段は安い。さらに、季節でいえば9~11月は業者が閑散期となるので値段が安く、繁忙期となる3月が高い。
いずれにしても、日程が少し違うだけで万単位で費用が変わってくるので、自分の予定が合う限りで最も費用が安くなる日程で申し込みを行おう。逆に、他の項目を先に決めてしまうと、運搬日に縛りができてしまうため、うまくコストダウンすることができなくなってしまう。
さて、引っ越し日が決まったので、解約日と引き渡し日のずと決まってくる。順番としては引っ越し日⇒引き渡し日⇒解約日だ。引き渡し日と解約日は同日でもよいが、引っ越し日と引き渡し日を同日にするのはやや危険だろう。荷物運びがスケジュール通りいかない可能性もあるためだ。また、新居側も、当然入居していないと部屋に入れず荷物を運べないため、契約日⇒入居日⇒引っ越し日の順番となる。要は退去の逆だ。ともかく、これで⑤新居への入居、旧居の引き渡し日が決まる。
入居日と引き渡し日が決定すれば、ガス立ち合いの必要から、③電気・ガス・水道の旧居での停止・新居での開通も決まる。すなわち、引き渡し日の前に停止し、入居日後に開通させる。
④インターネット回線の停止・開通も③と同様だが、こちらについては、「開通」はまあ待てばいい話なのでそんなに決定の優先度は高くなく、一方「停止」は、撤去工事が必要ならば引き渡し日の前に必ず済ませる必要があるので最低限施工の要否を確認しておこう。仮に不要であれば、あまり気にすることではない。
以上、ここまでで引っ越しの段取りが決まった。この時点で、一番最初に確認した「予告から引っ越しまでの猶予期間」が確保されている必要がある。そしてここでようやく、①解約予告を行うのがベストだと思う。
というのは、これは管理会社や大家によるが、原則として解約予告は撤回できないからだ。いろいろと段取りを考えた結果、「やはりすぐの引っ越しは時間・コスト的に厳しいので見送ろう」という場合もあるかもしれない。そういう場合でも、解約予告をしてしまっていると引っ越しせざるを得なくなってしまうからである。
②荷物運搬の日
⑤新居への入居、旧居の引き渡し日
③電気・ガス・水道の旧居での停止・新居での開通の日
④インターネット回線の停止・開通の日
①解約予告をする日
なお、あくまで上記は「日程を決める順序」であり、それぞれの実施の順番は下記のようになる。
解約予告
↓
新居入居
↓
新居で電気・ガス・水道開通
↓
荷物運搬
↓
旧居で電気・ガス・水道停止、ネット回線撤去工事
↓
旧居退去
(ネットの開通は新居入居以降ならいつでもよい)
じっくり案じてスパッと引っ越す
世界に格言はあふれているが中にはインチキなものも少なくはない。「案ずるより産むが易し」なんかはその典型だ。一体何を言っているんだ。それよりも遥かに「時は金なり」のほうが重要だ。至言だ。
一番重要なのは時間の使い方なのだ。引っ越しにおけるポイントは段取りを組むのに十分な時間をかけ、実際の作業はなるべく短時間で行う。タダであり皆に与えられている一方でどんなにお金を積んでも買うことのできない時間の、最適な運用方法はおそらくそれである。

ま、難しいことを言うつもりはないが、単身の引っ越し、皆さん一度はしておいた方がいいですよ。全て自分で決めなきゃいけないところや、やりくり次第でコストを下げられるところなんかが「株式会社俺」感があってそれはそれで楽しい。大いに案じろ。そしてよく産め。何を言っているかわからないかもしれませんが、どうせ机上の暴論です。それでは。
References
1. | ↑ | 同じ意味で最も有名なのはこの「産むが易し」であるが、「案じるより団子汁」というのもあってこれは「いろいろ考えたってどうせなるようにしかならないんだからまあ団子汁でも食えよ」という意味であり、個人的にはこっちの方がかわいくて好き。他に「団子汁」の部分のバリエーションとして「芋汁」もある。現代に直すと「氷結ストロング」とかであろうか |
2. | ↑ | 「定められた期間に関わらず、Xか月分の賃料を支払えば好きなタイミングで解約してよい」とされていることがほとんどなので、正確に言えば一か月・二か月前の予告でも解約できないことはないが、お金がモッタイナイのでここではとうぜん、度外視する。 |
3. | ↑ | まあうすうす感じていたが一人暮らしに40インチは大きすぎる |
4. | ↑ | ここらへんは契約会社、自治体等によっても変わるかもしれません |
5. | ↑ | ただ、友人は3日以上欅坂46の映像を見ない日が続くと死んでしまうと言っていたので、そういう場合は死活問題だ |
6. | ↑ | 日本七不思議のひとつと言われている |