結婚式余興ムービーをつくろう
唐突ですが登場したのは結婚式ムービーの作成を突然友達に依頼されたけんたくん(36歳)です。筆者がブログテンプレートの使い方を試行錯誤中でその一環として無理やり登場させていますのでご辛抱ください。
なお、余興を頼まれてから本番までの流れについては下の記事で述べているので参考にしてください。

対象~誰のために?~
さて、余興ムービーを作成することを決めたあなた(たち)。
まだ早い。早すぎますけんたくん。それよりもまず、第一に考えなければならないこと、それは—

これです。(上の画像が両端から中央にかけて太くなっているように見えるのは、錯覚です1)へリング錯視。)
いや、まあそうです。半分正解、半分ハズレです。
というのは、「新郎新婦」と一言にいっても、ムービーを捧げる対象が、両方なのか、片方なのかに大きく分かれるからです。すなわち、
(1)新郎・新婦のためにつくる
(2)新婦のためにつくる
ということです。
全然違います。(1)新郎・新婦のためにつくるのであれば、当然、仕掛人(送り元)は新郎新婦の知人ということになるでしょう。一方、(2)新婦のためにつくるのであれば仕掛人は新郎ということになります。
結婚式では新郎から新婦への何等かのサプライズが用意されていることが多いですが、②であればこの余興ムービーがそのサプライズにあたることになるでしょうね。そしてもちろん、ムービーの主役は新郎になります。
理論上はあり得ますがまあないでしょう。一般的に結婚式というのはどちらかというと新婦の晴れ舞台という感が強いですからね。ま、でも個人的にはそういうのも面白いと思いますよ。新婦が新郎にサプライズしちゃう、みたいなの。とはいえ今回はあくまで一般的な余興ムービーについて述べますので、「新郎のため(新婦が仕掛人)」というのはここでは考えません。
さて、次にムービーに必要な要素を見ていきますが、どの要素を取り入れて作成するにしても、ここで決めた対象を常に意識してつくらないと、よくわからないムービーになってしまいかねません。よってやはり、ともかく最初に対象をしっかり決めることが大切なのです。
要素~何を?~
ダメです。まあ、けんたくんの考えているような形式のムービーでも全然よいですが、どのようなムービーがあるのか知らないで直感的につくるのと、ある程度パターンを知ったうえで、その選択肢がベストだと考えてつくっていくのでは質が全く異なってくるはずです。
はい。私は数ある結婚式の余興ムービーを見てきましたが、研究の結果、すべての余興ムービーは3つの要素に分解できることが判明いたしました。
そしてこれが何を意味するかというと、つくる側の立場としては、この3つのパターンを組み合わせれば余興ムービーの骨組みができてしまうということなのです。
以下ではさっそく、その3要素を見ていきます。
①祝う
ひとつめの要素は、「祝う」です。
まあそうです。結婚式ムービーですからね。ですので、この要素は以下2つとは違って、不可欠な要素であるため必ず要素に入るんです。だから最初に紹介したんです。
けんたくんがいっていた、「友人からのメッセージを集めてつなげる」というタイプの動画は、この「祝う」の要素ひとつに全振りしたものの典型ですね。たぶん、余興ムービーで一番多いと思います。
このタイプで多いのが、新郎新婦へのお祝いメッセージを述べた動画をつなげたり、友人たちに画用紙やスケッチブックにメッセージを描いてもらい、それをもっている静画をつなげるというものです。

確かに上記のようなムービーの場合、素材を集めるのは一番簡単でしょう。強いて言えば、別コミュニティの友人の方に連絡をとって画像を集めてもらう必要があることが手間のかかる作業でしょうか。
「フロー編」でも述べましたが、こういう場合、あらかじめファイル形式等を指定して集めてもらった方法が、編集の段で楽です。
さてけんたくんの言うように、確かにこのタイプのムービーの素材集めは比較的ラクですが、別にラクだとダメというわけではないですし、新郎新婦の交友関係が広ければ、多くのメッセージが届くことになるので、それをシンプルにつなぎ合わせるというのが一番感動を呼ぶかもしれません。
それに、素材を集める難度が相対的に低いとしても、編集作業は別問題。素材集めを簡略化して、その分編集のクオリティを高めれば、決して手抜きとはいえないでしょう。逆に言うと、素材集めが簡単だからといってあぐらをかいてはいられないわけです。
企画の妙で誤魔化すことができず素材本来のよさをどう伝えられるかが問われますからね。編集の腕が一番問われる形式だと思います。
また、前節の「対象」についても考えると、「祝う」単体勝負のムービーは、前述のように「素材数を一定数揃える」ことが重要になってくるので、新郎・新婦両方を対象に設定した場合と相性がよいです。新婦だけにすると、どうしてもメッセージの数は少なくなりますからね。
②巡る
いろいろな場所を巡る。これもよくある余興ムービーの一要素です。
そうなります。ここで前節の「対象」が「(1)新郎・新婦のため」であれば、お互いの母校などに行き、同窓生・先生などからメッセージをもらう(「祝う」の要素ですね)、などが考えられます。
一方、「(2)新婦のため」であれば、新郎が、新婦の母校・実家に行って話を聴く、というパターンもあります。また、“二人の思い出の場所(例えばプロポーズした場所など)”に赴き、当時の心境を新郎にコメントしてもらう、というのも画になります。
さて当時の思い出も呼び起こされ、新郎・新婦の感動を引き出すこと請け合いのこのパターンですが、ロケが伴うため制作側としてはその準備などが必要となります。特に新郎・新婦いずれの故郷にもいくパターンで、ともに地方出身かつ地理的に離れている、となるとスケジュール調整が大変です。
それだと全部回るの骨が折れますね。逆に全部訪問できればそれだけで感動ポイントのひとつとなるでしょう。
また、新郎が巡る場合ですが、式が近づいてくると披露宴などの準備で、新郎新婦の土日はほとんど埋まってしまいます。とてもロケに同行している余裕はありません。それに新婦にナイショで新郎に旅行をさせなければなりませんから、直前の忙しい時期にそんなことをしようもんなら結婚式前に新郎新婦の間に重大な亀裂を生じさせかねませんよね。
よって、新郎を伴うロケを実施する場合、式の一か月以上前には完了するようなスケジュールを組みましょう。
ただその代わり、故郷の知人等にコメントをもらえるというだけでも十分グッとくるので、そこまで編集に力を入れなくても感動的な作品になる、という利点はあります。
③挑む
最後の要素は、「挑む」です。
それは「対象」によりますね。対象が新婦ならムービーの主役たる新郎が挑むことになりますが、新郎・新婦がともに対象なのであれば、友人が何かにチャレンジするという形もあり得ます。
まあ、それが作成者の腕の見せ所なので自分で考えなさいといいたいところですが・・・私がみたことのあるものを列挙しますね。
・ダイエット
・バンジージャンプ
・ダンス
・フラッシュモブ
・大食い
・クイズ
・収集
確かに。なので私が見たものでは友人が挑戦してました。
・・・冷静に考えるとそうかもしれないですが、まあそこはダイエットだろうがなんだろうが「お祝いの気持ちを込めて〇〇に挑戦しました!」とか言っておけばいいんですよ。冷静なツッコミをするのは、野暮というものです。
さて、「収集」についてはこれだけでは意味がわからないかもしれませんが、「②巡る」と組み合わせるものです。つまり、新婦の出自や二人の思い出の場所を巡って、そこでなにかを集めて、最終的には集めたものを新郎が会場で実際に新婦に渡す、というパターンですね。
集めるものとしては”一輪ずつの花⇒会場で花束を渡す”、”パズル(二人の写真など)のピース⇒会場でパズルの完成形を渡す”などが考えられますが、ここもアイデア次第です。

このように、「ムービーのあとに(ムービーに続く形で)会場で何らかのサプライズを仕掛ける」というのも効果的なテクニックなので覚えておきましょう。
さてこの「挑む」ですが、これまでの「祝う」「巡る」は主に感動を呼び起こすために挿入される要素ですが、この「挑む」を入れることにより、ムービーにエンターテイメント性が加わり、会場の笑いをとるのを狙うことができます。ま、もう何も考えつかないけどとりあえず笑いをとりたい、という場合はバンジーですね。他人がバンジージャンプしているところとか理屈抜きで面白いでしょう。値段的にも安ければ一万円程度でひと飛びできるみたいなので、手ごろでおすすめです。高所恐怖症などでない限りは、ですが。
笑いをとるためには編集の力も必要です。テレビのバラエティーをよくみると、テロップに始まり多くの映像表現が使われています。人は意外とただ映像を見せられただけだとそれが愉快なものであっても笑いにはつながらず、「ここが笑い所だよ」と示すことが必要になります。一方でそれが過剰になると冷めてしまうということにもなるので、当日までにいろんな人に見てもらって、実際「笑えるか」を確認し微調整していきましょう。
「巡る」と同じように、場合によってはロケも伴うので、撮影自体の難度も高いです。ただ新郎新婦のみならず、会場の皆さんにも楽しめる余興にするには是非入れたい要素です。
表現~どうやって?~
対象と要素が決まり、それに基づいて素材も集まれば、あとはどのようにそれらを見せていくか考えることになります。
全体のテーマ
一概にはいえませんが、一番手っ取り早いのが、集めた映像を曲にのせて流すパターンです。“PV風”とでもいいましょうか。特に「祝う」の要素だけで作る場合、映像全体のストーリーはないようなもので、そのままではとても余興にならないので、音楽1曲分に乗せて映像・画像を流すことで間延びを防げます。
音楽を使う場合の注意点(プロフィールムービーとの「かぶり」やお金の問題)については、繰り返しになってしまいますが「フロー編」で述べているので参考にしてください。

「巡る」「挑む」の要素が入ってきた場合は、新郎のドキュメンタリー番組のような形になりますので、ウケ狙いに有効なのは“有名な番組をパロる”ことです。特に「情熱大陸」「プロフェッショナル~仕事の流儀~」などのパロディをよくみかけます。
パロディを作らないまでも、上記のような番組を編集面を意識して見ると、どのように主役を引き立たせる映像つくりの勉強になりますよ。
そのように勉強を重ねれば、パロディなどの力を借りなくても自分独自の編集方法で鑑賞に耐えうる“オリジナル”ができることでしょう。
おすすめ楽曲
なるほど。そうなると上でいう”PV風”になるでしょうね。
“PV風”限らず楽曲をムービーに使うことは多いと思います。ということでどの楽曲を使うかということになりますが、基本的にはシンプルに新郎・新婦の好きな曲を使うのがいいと思います。
そんなけんたくんのために、“結婚式余興ムービー鉄板ソング”を邦楽・洋楽いずれも10曲ピックアップしましたので、ぜひ参考にしてください。
結婚式余興ムービー用楽曲セットリスト
【邦楽編】
3月9日/レミオロメン
CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵
愛をこめて花束を/Superfly
Lovers/sumika
花束/back number
恋するフォーチュンクッキー/AKB48
小さな恋のうた/MONGOL800
100万回の「I love you」/Rake
家族になろうよ/福山雅治
君って/西野カナ
【洋楽編】
THE GIFT/Blue
Marry Me/Jason Derülo
What Makes You Beautiful/One Direction
Marry You/Bruno Mars
Sugar/Maroon5
Best Day of My Life/American Authors
Sk8er Boi/Avril Lavigne
I Don’t Want to Miss a Thing/Aerosmith
Beauty and the Beast/Celine Dion & Peabo Bryson2)最近だとAriana Grande と John Legendのカバーもある。
Everything’s Gonna Be Alright/Sweetbox
奇をてらうな!
ベタでいいんです。結婚式余興ムービーで忘れてはいけないのは、奇をてらわないことですから。それを肝に銘じてください。
笑いをとりにいくのも大事ですが、あくまでそれはオマケであり、ムービーは本来結婚する二人を祝うためのもの。また、新郎・新婦の御親族もいますし、あまり荒唐無稽なムービーになることは絶対に避けなければなりません。
それにですよ。「ありがちなムービーはつまらない」と思うかもしれませんが、新郎・新郎にとって(基本的には)一度限りの結婚式であり、そこで上映されるムービーもまた唯一無二のものなのです。なので結婚式のムービーに「ありがち」など存在しないのです。そう思うのはオーディエンスだけです。で、極論をいえばオーディエンスなんてどうでもいいではないですか。
ということで、奇をてらわず、テクニック偏重になることもなく、二人を祝う気持ちを伝えるため丁寧にムービーを作ること。これに尽きるのです。けんたくん、いいですか。
いかがでしたでしょうか。みなさまのムービー作成のためにわずかながらお力になれれば幸いです。よいアイデアは浮かびましたか。浮かばなくても本記事に責任はありません。どうせ、机上の暴論です。それでは。
References
1. | ↑ | へリング錯視。 |
2. | ↑ | 最近だとAriana Grande と John Legendのカバーもある。 |