マニュアル

完全・結婚式余興ムービー作成マニュアル(フロー編)

はじめに

あなたが20代半ば~30歳手前であるならば、目をつぶってウンウンうなづいてくれると思うのだが、

一度ゾーンにはまると、本当に結婚式は多いぞ。

ゾーンにいつから入るかは人それぞれだ。これまでの経歴や務めている会社によるだろう。ただ、経歴が近しい人はライフスタイルも似ているので、あなたの友達が結婚したいならば、別のあなたの友達も結婚したい時期を迎えており、こうして「ゾーン」が発生する。ゾーン中は、これまた人によるが、僕の場合には、いままさに絶賛ゾーン中であり、およそ2か月に一度、友人の結婚式(2次会のみのパターンも含める)に参加するというイベントが発生している。

僕なんかまだいい方で、僕よりも全然顔の広い友人など、一日で結婚式を3会場ハシゴしていた。そうなってくるともう誰と誰が結婚したかわからなくなってしまうらしい。

まあ、結婚式に行くのはいい。ご祝儀はあるけど・・・まあ、そこはね・・・!それよりも、問題は「余興を依頼された」場合である。

いや、「問題」なんていっちゃよくないですね。実際、後述するように、一部分とはいえふたりの結婚式をつくった側としての達成感もある。

前述のように、「ゾーン」はいきなり、しかもドドドっとくるのだ。余興を依頼される可能性もそれとゾーン発生とともににいきなり高まることになる。しかし、これまでにそういう出し物をしたことがない人にとって、いきなり余興と言われても何をやっていいかわからず、正直困ると思う。そしてそこを、これまでそれなりに結婚式に参加し、様々なタイプの余興を見てき、また自分でもいくつか作成に携わったことのある筆者が、これまでの経験から、結婚式余興のためのムービー作成マニュアルを作成し、あなたの友人たる新郎新婦にとって、そしてなによりあなたにとってよりよい結婚式をつくる一助となれれば、僕にとってもこれほどうれしいことはない。はい、そういう趣旨です。

なお、今回はおおむね「だ・である調」でいきますので、よろしくお願いします。

ムービー作成フロー

ここでは、依頼されてから結婚式当日までのフローを概説していく。

依頼の受理

当然だが、事前に新郎新婦から余興の依頼がある。

どのようなタイミングで依頼されるかは新郎新婦によるが、2か月前くらいに依頼がくれば十分な制作期間が与えられていると考えてよい。一方、1か月前くらいに依頼された場合かなりカツカツなスケジュールとなるので、あらかじめ覚悟しておこう。とはいえ、断るという選択肢は、事実上ないので、どのタイミングであれ依頼されたら受けるしかないので、自分たちの進捗速度で調整するしかない。

依頼された際に最低限聞いていかなければならないことは、

①与えられた時間は、概ね何分か
②余興の形式(ムービー?その場でダンス?)
③会場スタッフと直接やりとりできるか、できるならその連絡先

の3点である。

①については、依頼があった時点ではまだ詳細な式次第が決まっていないかもしれないが、なるべく早めに教えてもらったほうがいい。逆にある程度こちらから提案できるなら、最低限15分、できれば20分ぐらい確保してもらえれば余興の幅は広がる。

協力者を集める

依頼される時点で、一人で依頼されるわけではないと思う。多いのは、5人くらいの友達グループか、あるいはカップルで依頼されるパターンだ。主となって動くのは5人以下で十分だが、おおむね10名前後の気のおけないメンバー間で「なにかを結婚式に向けて作るんだ」という認識共有がされていた方が、あとあと楽。

まあこれは、何も結婚式余興に限らず、すべてのことに一般にいえますよね。

形式を決める

結婚式の余興といえば、ほとんど2パターンのどちらかだ。すなわち、

①ムービーをつくり上映
②ダンスを踊る

である。さて、タイトルにあるとおり、今回本記事は①を選択したとして話を進めていく。なぜか。

率直にいって、ダンスは大変だ。ある程度の人数もいるし、会場にそれ用のスペースも必要だ。

それに、なにより振り付けを覚えるのが大変。結婚式ではないが、以前会社の忘年会Perfumeの「ポリリズム」のほんの一部を踊ったことがあるが、一ヶ月くらいかけて練習したのに、全然踊れるようにならなかった。しかも、全然ウケない。あとで自分たちの演技をムービーでみたら、「ポリリズム」の流れているなかで女装をしたおじさん3人が痙攣している映像であったため、ウケなかったのも無理はない。Perfumeの偉大さがよくわかった。Perfumeはすごいんだ。

閑話休題。まあもちろん、あなた方がダンスのプロチームで、老若男女、観るもの全てに感動を与えられる踊り子であるならぜひ、ダンスにすべきだが、一般のみなさんを対象にした当ブログではあくまで①ムービーを推させてもらいます。

どうしても踊りたければ、踊ったところをムービーにして流そう。

コンテンツを決める(詳細は別記事で)

いよいよ中身づくり。本記事の本丸である。

…であるのだが、これは結構長くなってしまうと思うので詳しくは別に記事を書くのでそちらを参照していただきたい。

ここでは、コンテンツを考えていくうえで確認しておくべき2点を紹介する。

①プロフィールムービーその他で何の楽曲を使うか?
②楽曲を使用する場合、使用料は発生するか?

①を確認するのは、要するに曲がかぶってしまうのを防ぐためだ。結婚式において、ムービーは何も余興だけではない。新郎新婦が用意するプロフィールムービーもある。そしてもちろん新郎新婦が自分で用意することもあり、そちらの方が優先度は高い。良かれと思って調整なしに夫妻の好きな曲を使ってしまうと、かぶってしまう可能性が高いので、あらかじめプロフィールムービーで何を使うかは確認し、別の曲を使うようにしよう。

②は、対応は式場によってまちまちなのだが(おそらく)最も「正当な」のは、楽曲数に応じた楽曲使用料を式場が新郎新婦に請求するパターン。この場合、曲を使えば使うほど新郎新婦の出費がかさんでしまうので(使用料は結構バカにならない)、フリー音源を使用するか、使用料について新郎新婦に承知してもらったうえで楽曲を使うようにしよう。

撮影する

コンテンツによって撮影方法はさまざまだが、素材となる映像は1か月前くらいにそろっていることが望ましい。編集には少なくとも2週間くらいほしいので、それを考慮して逆算しよう。新郎新婦に出演してもらう場合には、当然結婚式直近は当人たちがめちゃめちゃ忙しく撮影などしている暇はないので、それも考慮したスケジューリングを行うこと。

全ての映像を同一人物が撮影する場合はともかく、複数名によって撮影する場合(例えば企画者とは別のコミュニティに属する新郎新婦友人の映像が必要な場合など)はさらに先立って撮影者に撮影を依頼する必要があるため、早め早めに企画を進行する必要がある。

またいずれにしてもいえることだが、動画の形式はそろえた方がよい。というのは、形式が異なると映りの具合や音声の大きさなどに微妙なズレが出るため編集が大変になるからである。

また、他人に撮影を依頼するときは、あらかじめ自分の編集するソフトで取り込みが可能なファイル形式を確認し、その形式で撮影を依頼した方がスムーズだ。まあ、ファイル形式はあとで変換すればよいのだが、動画は容量も大きいので変換作業だけで結構時間を食ってしまう可能性がある。

以上のことを考えると、多くの人が使っている映像記録媒体かつ高品質かつ手軽、という点で、iPhoneで撮影するのがベストだと僕は思います。何も考えずに撮影しても、iPhoneならそれなりのクオリティになってしまうのです。そう、iPhoneならね。

また、これは当然といえば当然だが、ある程度完成形を見据えて撮影を行うことが非常に大切。完成系をイメージして撮影するのとしないのとでは次の作業の手間が大きく違います。やったことはないけど、たぶん、絵コンテまで作っちゃて撮影に臨むのがベスト。まあ、そんな余裕はないだろうけど。

編集する

結局ここです。これが腕の見せ所。

前行程で後先のことを考えずに撮影を行ってしまうと、それはつまりゴミから城を建てることになるので、非常な生みの苦しみを味わうこととなる。基本的には被写体に悪態をつきながら(「もうちょっと大きくしゃべれよ」「もっと笑えよ」など)一人でパソコンをカチカチやるという、「現代社会の闇」を示すフリー素材のような形で作業することだろう。結婚式という華やかな舞台のちょうど”影”に相当する部分なのだ。

…というのは半分冗談で、この作業が一番大変なのは事実ですが一番楽しくもある。ハマるとどんどん細かいところまでこだわりたくなるが、こういったものは正解がなくキリがないので、いいとこでふんぎりをつけよう。あと個人的には、レヴェルの高い編集を過剰にすると「広告系の仕事をしてますが、今日は友達のためにひと肌脱ぎました。無料で。」という感じが出てイヤミたらしいので、ほどほどの編集感がいいと思います。偏見ですね。

効率やセンスの統一を担保するためにもメインの作業は一人で行った方がよいけれど、自分のワールドに入ってしまうのはダメである。あくまでこのムービーは式の参加者、そして何より新郎新婦のためにつくるもの。なので、ある程度形を一人でつくったら、それをたたき台として複数の目で見てその意見を反映させていくのがベストだろう。

動画編集の技術的なところは、まあ最低限パソコンが使えればよくて、あとは直感的に操作できるソフトを選べばよい。ソフトはいろいろあるが、おすすめなのはAviUtlというフリーソフトだ。理由としては

・無料(いやまあフリーソフトなので、そりゃそうだ)。

・高機能で自由度が高い。技術さえあればなんでもできる。

・操作が直感的

・プラグインが豊富

・解説サイトが豊富なのでつまづいたとしても解決が容易

など枚挙に暇がないが、ともあれソフトに迷っているならばAviUtl一択である。ソフト開発者自身によるものではないものの、このサイトをみればダウンロードの方法から何まですべて書いてあるから、これを参考に使いこなしてほしい(そういう私もつかいこなせていません)。なお、デフォルト設定では前項でおすすめしたiPhoneで撮影した動画(MOVファイル)を取り込めないので、使用する場合にはちょっとした設定が必要。でも安心してください。ここに書いてありますよ。

事前提出、不備対応

定められた期限は守って式場に提出すること。式場からは特に事前提出を求められず、「当日持ってくればいい」というスタンスの場合もあるが、それであってもこちらから事前に提出して再生具合を確かめてもらった方がいい。

自分の環境で問題なく再生できたとしても、式場の設備ではうまく再生できないことは結構ある。事前に提出、再生確認をしていれば、そのような不備があった場合、式場の方からいってもらえるので、当日までに対策ができるというわけだ。

うまく再生ができない場合は、ファイル形式(WMV、MP4など)を変えてみたり、エンコードソフトを変えてみたり、媒体(DVD、USBなど)を変えてみたりする。映像は出るが音は出ない(これもよくある!)場合、例えば音声を別にCD等で用意して、同時再生するという古デジタルな対策もありえる。様々な方法を用いてもどうしてもうまくいかないなら、最悪、自分の再生機器をもちこむなどして確実に再生できる環境を式場につくるということもできるだろう(もちろん、式場とは要調整)。

当日

多くの場合余興の準備者は式場スタッフに会場前に呼ばれて最終打ち合わせをさせてもらえる。再生のタイミングや音量などはここで調整しよう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

正直にいうとムービー作成は手間だ。しかも、友人とはいえ他人である。他人のホームムービーを見るのがキツいのはいうまでもないが、結婚式ムービーもその延長線上であり、しかもそれをつくるなど。

しかし、月並みな表現ではあるが、手間だっただけ完成したときの達成感はひとしおである。また、思い上がりかもしれないが、結婚式を新郎新婦と一緒につくったという感覚も多少なりとも感じられるはずだ。

結婚式に参加するならどうせご祝儀を払わなければいけないのである。同じご祝儀を払うのであれば、少しでも自分にとって充実感があった方がおトクではないか。…ということで、知り合いの結婚式では是非率先してムービーないし余興の仕掛人になることをオススメするところである。参考にならなくても苦情は受け付けません。どうせ、机上の暴論です。それでは。